【感想】青くて痛くて脆い 住野よる

あー!青いなー!と叫びたくなる作品。個人的には君の膵臓を食べたいより好きです。いや、両方好きです。

 

 人に不用意に近づきすぎないことを信条に生きている主人公は、理想と情熱に燃える秋吉に出会った。自分と正反対でありながらも、その姿に憧れを抱いていく主人公は。。。年月の経過とともにどのようなことを思うだろうか。

 時間が経っても変わらないものなんかない。青春時代は特に移ろいやすいもの。だから、永遠なんてない。時の流れについていけない主人公が秋吉に抱く気持ちはわかる。自分が大事にしていたものが変わっていくのは悲しいし、辛い。でも、それでも、秋吉といたいなら、主人公は選択しなくてはならなかった。傍観者でいるのではだめだ。

 相手に理想を押し付け、その理想が変わらないことを求めるなんて、なんて傲慢なんだろう。

 自分の傷つきが相手にわかるのかと伝えるその傲慢さは、そのまま本人にも当てはまる。君は、傷つけていなかったのかと。それにも気づかない青さが、痛くて、脆い。

 悲しいのは、誰も悪くないことだろう。誰かが悪意を持っていたわけでもない。ただ、それぞれが自分が生きたいように生きていただけ。それぞれがそれぞれの生き方をしていたにもかかわらず、偶然交錯した互いの人生は尊いが、逆に言えば、それは容易に離れ得るものだ。その偶然の奇跡を後生大事にしておくことはできない。それは、宝物のように思い出にできる奇跡だけれど、永遠に続く奇跡ではない。

 自分ルール。

 完璧である自分。