2020-01-01から1年間の記事一覧

【感想】青くて痛くて脆い 住野よる

あー!青いなー!と叫びたくなる作品。個人的には君の膵臓を食べたいより好きです。いや、両方好きです。 人に不用意に近づきすぎないことを信条に生きている主人公は、理想と情熱に燃える秋吉に出会った。自分と正反対でありながらも、その姿に憧れを抱いて…

【感想】男が痴漢になる理由☆☆☆☆

なんで痴漢をするんだろう。そして、どうしたら痴漢を止められるようになるんだろう。そんなことを考えながら手に取った本です。 そもそも、痴漢は日本で多くされる犯罪(海外ではChikanと呼ばれる。)であるにもかかわらず、日本で研究が進んでいないのです…

【感想】国際人権入門

司法修習の講義で国際人権法があったため、読んでみました。 日本では国際法は裁判などでもあまり活用がされていない。そもそも、大学で学ぶこと自体が少ない科目である。司法試験の選択科目になってはいるが、選ぶ人は最も少ないという悲しい科目である。で…

【感想】壁の男

壁の男、貫井徳郎著者。 たいしてうまくない絵を家の壁に描き続ける男。次第に町中の人が書いて欲しいと頼み始め、町は、絵で有名になっていく。しかし、なぜ彼は絵を描き続けたのだろうか。 ミステリー、と言われればミステリーなのだと思うけれど、どちら…

なぜ君は絶望と戦えたのかー木村洋の3300日

光市母子殺害事件の被害者の夫であり父である木村さんの物語 法曹三者の一人として、是非読んでおきたいと思った一冊。 直接体験していない私がこの本を読むだけで体温が上がる一冊。読んでいるだけで目頭が熱くなり、感情が混濁し、抑え切れなくなる。本人…

【感想】文系大学教育は仕事の役に立つのか  

心惹かれるタイトルである。理系と比べて職業に直結せず、文系教育は意味がないと言われ、企業からはコミュニケーションの能力が欲しいと言われる昨今、文系教育は役に立っているのか。以前、大学院の小論文で、親戚から文系の大学院なんか仕事の役に立たな…

【感想】 BECOMING(マイストーリー)

ミッシェル・オバマの自叙伝。決して裕福とは言えない環境から、成り上がったミッシェルが、バラク・オバマと結婚して人生が一変する。そんな人生の軌跡を描いた話。 【内容】 子どものころは、努力の音を聞きながら育った。 うちの両親は、私たち子供に対し…

【感想】 歴史に残る外交三賢人 ビスマルク、タレーラン、ドゴール

著名な外交を行った人たちに関する著書。著者は、日本が米国に追従し、主権を放棄していることが、自身の国家の命運を他国に委ねているとして非常に批判的な立場から、日本を批判している。日本に対する批判は色々あれど、外交のあり方についてはとても面白…

【感想】フランス刑事法入門☆☆☆☆

フランスの刑事法、刑法、刑事訴訟法、刑事政策に触れた本。日本の刑法はドイツに影響を受けている部分が大きいからか、フランスに関するものは少ないと思える。そのため、フランス刑法に触れる意味で、とても参考になった。 【内容】 フランスでは、刑の下…

【感想】歴史秘話 外務省研修所ー知られざる歩みと実態☆☆☆

日本の外務省研修所の歴史秘話。裁判所職員総合研修所、司法研修所の研修を経験しているため、研修所に思うことは多い。外務省研修所については、隣の芝生は青い、のだろうと思いながらも、良い研修所だと羨ましく感じた。 【内容】 外務省研修所は、そもそ…

【感想】トラウマの現実に向き合うージャッジメントを手放すということ☆☆☆☆☆

トラウマ治療に取り組んできた著者の考え方をまとめた書籍。全体として、専門家としての限界を理解しつつ、専門家としての専門性を高めることを強く意識していたと感じた。 【内容】 トラウマ患者に信頼されるには、治療者の人間性だけでなく、トラウマにつ…

【感想】サイコパスの真実☆☆☆☆☆

犯罪心理学の研究者が書いたサイコパスに関する書籍。本書によれば、専門書すぎず、簡易すぎず、実証的な内容を踏まえたサイコパスについての書籍である。 サイコパスについて非常にわかりやすく書かれており、読みやすい。良書である。 サイコパスとは、そ…

【感想】ウィニコットを学ぶ

ウィニコットの論文を著者がわかりやすく解説する物。 精神分析の勉強をしたくなり、読んでみましたが、完敗しました。私の頭の問題もありますが、難しすぎる。読めたところだけ以下抜粋し、頭の整理をします。 精神分析の大家はフロイトであり、フロイトは…

人類と病ー国際政治から見る感染症と健康格差☆☆☆★★

昨今コロナが流行る世界の中で、コロナについて一冊何かを、と思い、手に取った一冊。国際政治の中で、感染症などに対してどのような取り組みがされてきたかを解説する一冊でした。 国際政治からみたとき、ある種感染症は人類の希望となりうるのではないか、…

重量ピエロ☆☆☆☆☆(映画)

伊坂幸太郎原作の重力ピエロ。初恋の人から薦められた小説を大学時代に読んだ。次の日にその人と話したくてあっという間に読んでしまい、頭に入らなかった。 だから、改めて社会人になってから映画を見てみた。大学時代の記憶は薄れていたが、とても面白い作…

傲慢と善良☆☆☆☆☆

とても面白い小説でした。テーマは題名の通り、傲慢と善良。 婚約者が突然ストーカーに遭った。それをきっかけに結婚まで話をするめると、突如婚約者がいなくなった。主人公は、婚約者を探す中で、自分と婚約者の気持ちを知っていく。 以下ネタバレとともに…

統合失調症☆☆☆☆★

統合失調症とは何か。 統合失調症は、自己の統合が失調する病気である。妄想や幻覚という症状が代表的であるが、こうした妄想の中には、自我障害と言われる症状がある。自分の考え方が他者に伝わるという思考伝播、他人の考えが吹き込まれるという「思考吹入…

バンクシー・アートテロリスト☆☆☆★★

バンクシーのすがたに迫る新書。 芸術を知らない私にも面白く読めました。ただ、芸術に疎すぎて、出てくる登場人物の半分は分からず、初心者にはやや分からないところも。とはいえ、とても面白い作品でした。 バンクシーは、正体不明の芸術家。 正体不明が貫…

あの頃、君を追いかけた☆☆☆★★

乃木坂46の齋藤飛鳥主演。ただただ、齋藤飛鳥が可愛い作品でした。 物語は、不良が優等生を好きになるというストーリー。報われるには、やはりタイミングと一押しなんだろうと思う。どれだけ感情的になっても、逃しちゃいけないタイミングはある。それに、…

マネチの終わりに☆☆☆☆☆

「わたし、結婚するのよ。もうじき。」「だから、止めに来たんだよ。」蒔野は、真っ直ぐに彼女を見つめた。 これを映画では、福山雅治が言っているという事実。そしてそれに答える石川ゆり子。映画でも美しい作品になっている珍しい作品です。 感想は小説の…

天使のくれた時間☆☆☆☆☆

深川麻衣さんがお勧めということで見てました。 空港での別れ。主人公は、銀行の研修を受けに、成功しにロンドンに飛び立つ。ケイトは、行かないでくれと主人公を止める。主人公は、将来の成功のために。。。と行って旅たつ。 場面は離れて、13年後、主人…

ニッポン宇宙開発秘史(☆☆☆★★)

日本の宇宙開発を概観した新書です。日本がお金のない中、いかに宇宙開発に取り組んできたかを教えてくれます。 日本は、第二次大戦で負けたことにより、飛行機の研究を禁止されました。そこで、宇宙開発をできなくなったんです。しかし、飛行機の翼と音響の…

居るのはつらいよ(ケアとセラピーについての覚書) 感想 ☆☆☆☆☆

「「ただ居るだけ」と「それでいいのか?」をめぐる感動のスペクタクル学術書!京大出の心理学ハカセは悪戦苦闘の職探しの末、ようやく沖縄の精神科デイケア施設に職を得た。しかし、「セラピーをするんだ!」と勇躍飛び込んだそこは、あらゆる価値が反転す…

ミッシェル・フーコー-近代を裏から読む

「フーコーは、私たちが自明視する世界のありようを、全く違ったしかたで見せる。「価値を変えろ!」と迫るその思想の核心に、どうすればたどり着けるのか?本書は、最高傑作『監獄の誕生』を糸口にフーコーの全貌に迫ることで、その思考の強靱さと魅力と、そ…

革命前夜

バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。中でも学内の誰もが認める二人の天才が──正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュ…

危険なメソッド

「1904年、チューリッヒのブルクヘルツリ病院に勤める29歳の精神科医ユングは、精神分析学の大家フロイトが提唱する斬新なメソッド“談話療法"を、新たな患者ザビーナに実践する。まもなくユングはザビーナの幼少期の記憶をたどり、彼女が抱える性的トラウマ…

ビリーブ 未来への大逆転

女性弁護士が女性の権利、ひいてはアメリカ合衆国内で性差別を撤廃させ、平等を求めていくストーリー。 1970年代にはまだまだ女性への性差別がたくさんあった時代のよう。主人公の女性弁護士は、コンロビア法科大学院を首席で卒業したにもかかわらず弁護…

どうしても生きてる 朝井リョウ

朝井リョウさんの作品は全て読んでいます。今回の作品も変わらずとても面白いものでした。 健やかな論理 「〇〇だから△△、という健やかな論理は、その健やかさを保ったまま、やがて、鮮やかに反転する。「満たされていないから他人を攻撃する。」はやがて「…

革命 エマニュエル・マクロン

現在のフランス大統領の自著である。他にもマクロン氏を扱う日本語書籍はあるが、レビューを見てみると、マクロン氏の年の差婚といったワイドショーで扱う内容が多いとの評価であったため、この本を買うことにした。 さて、内容はフランス大統領としてこれか…

ジュリアン【面会交流について】

面会交流を描いたフランスの作品です。 面会交流とは、父母の離婚中(または父母の別居中)に、子どもが、離れて暮らす親と交流することです。日本では、離婚すれば母親が子どもを引き取ることが多いため、多くは子どもが離れている父親と会うことを意味しま…