【感想】ウィニコットを学ぶ

ウィニコットの論文を著者がわかりやすく解説する物。

精神分析の勉強をしたくなり、読んでみましたが、完敗しました。私の頭の問題もありますが、難しすぎる。読めたところだけ以下抜粋し、頭の整理をします。

 

 精神分析の大家はフロイトであり、フロイトは、静的なエネルギーであるリビドーが人間をどう気づけていると考えた。一方、ウィニコットは、母親と赤ん坊の関係性が基本であると考えた。そして、人は潜在的に成長するポテンシャルを有しており、それを環境が受け止めることで成熟過程が展開する。しかし、それを環境が完全に受け止めることは不可能なので、人は何かしら不完全さを抱えつつ生きていかなければならない。また、フロイト以前、自己が形成されるまでを主に扱い、フロイトが主体性を重視したのに対して、人間は関係性の中で生きていると考えた。

 ウィニコットは、そもそも、普通に生きること、人生を柔然に経験することが治療の目標であると唱えている。それは、人間は基本的に成長するポテンシャルを有しているが、それを発揮するには、それを抱える環境が必要であること、人間にはパラドックスを経験する能力があること、このような考えを基にしている。これらは、ウィニコットが主張するまでは誰も主張していなかった。

 ウィニコットの主張で興味深いのは、軽度の失敗があってこそ、外界に適合する方策を考え、社会に適応できるということである。適応を目指して外界に迎合した自分を偽りの自己というが、病的に肥大すれば精神病につながるが、適度な物であれば、環境に適応する方策であり、健康さを反映したものであるというのである。

 

 ウィニコットは、次第に、解釈よりも一緒にいることの方がはるかに重要であると主張するようになった。

 ウィニコットにとって、家はくつろげる場所だったらしく、だからこそ全ては家庭から始まるだったのだろう。

 

 個人的感想

 精神分析は、自身の人生を分析することが出発点になるため、その人の人生が人生に反映されているのだろう。

 パラドックスをいかに抱えるかが大事なのだと思う。安易に何かの答えを出すことは、思考を大事にしている人にとっては致命的なのかもしれない。何かについて結論を出しているようで、出せていない結論が自分を蝕んでいく。大事なのは、答えが出ない問題は答えが出ないまま自分の中に持っていくこと、そして、思考をし続けることなのだと思う。自分の中にパラドックスを抱えていくのは、予想以上に難しいものなんだと思う。