危険なメソッド

1904年、チューリッヒのブルクヘルツリ病院に勤める29歳の精神科医ユングは、精神分析学の大家フロイトが提唱する斬新なメソッド“談話療法"を、新たな患者ザビーナに実践する。まもなくユングはザビーナの幼少期の記憶をたどり、彼女が抱える性的トラウマの原因を突き止めることに成功する。二人はしだいに医師と患者の一線を越えてお互いに愛情を抱き始めるが、ザビーナをめぐるユングの内なる葛藤はフロイトとの友情に亀裂を生じさせていく…。

 

精神分析、心理学の大家であるユングのお話。

 

患者であるザビーナは、治療を受ける中で、医師であるユングに惚れていく。そして、二人は一線を越してしまう。

ザビーナがユングを愛したのはいわゆる「転移」が原因と言えます。

 

転移とは、カウンセリング,精神分析療法の過程で,患者が治療者に感情転移を起こすことです。
 転移には,治療者に対して信頼,尊敬,情愛,感謝などの感情を示す陽性転移と,敵意,攻撃性,猜疑心,不信感などの感情を示す陰性転移の二種類がある.このような特殊な感情は,患者が過去(幼少期)に自分にとって重要であった人物(多くは両親などの養育者)に対して持っていた抑圧された感情が,治療者に向けられたものと理解されている.

 

転移のある関係だから、本当の意味で恋愛的な関係にはなれないのかも知れない。でも、人間はあらゆることを経験しながら人生を生きているから、純粋に転移のない関係などないのかも知れない。

 

「神の役割を演じる権利などなど。あるがままに受け入れる。理解と需要こそが精神医学の道だ。」

 

 ユングは、精神医学の父であるフロイトをのりこえたく、他方で、乗り越えられないことを憂いたのではないか。ザビーナがフロイトのもとに向かう事に強い恐れを抱いていたのかも知れない。

 

 ユダヤ人であるフロイトは、アーリア人であるユングを信じることができなかったのか?

 

 病気を病気として分析しようとしたフロイト、病気を人全体として理解し、更生に導こうとしたユング

 

「君への愛は大切だった。自分自身を理解できたから。」

愛することと、愛する人と結ばれることは必ずしも同じだろうか?