統合失調症☆☆☆☆★

統合失調症とは何か。

統合失調症は、自己の統合が失調する病気である。妄想や幻覚という症状が代表的であるが、こうした妄想の中には、自我障害と言われる症状がある。自分の考え方が他者に伝わるという思考伝播、他人の考えが吹き込まれるという「思考吹入」、自分の考えが抜き取られる「思考奪取」などがある。

 

統合失調症の原因はよくわかっていない。しかし、現在有力と言われているのは、異常セイリエンス仮説である。私たちの脳には、ドパミン神経系があり、これが過剰に働くと、本来セイリエンスが低くあるべき事物のセイリエンスが上昇してしまう。そして、ドパミン神経系の働きを抑える薬の効果がわかっている。

 他方、遺伝的な原因はあるようです。近い親族に統合失調症患者がいれば、そのリスクは上がり、双子であれば、約50%の確率のようです。

 

 統合失調症の経過は、①前駆期、②初回エピソード、③寛解、④再燃、⑤慢性期などを辿ります。

そして、リカバリーとは、寛解しているのはもちろんのこと、その期間が十分に長く、さらに仕事や学業に戻れているなど社会の中でうまく戻れている場合である。また、本人自身も良い状態だと捉えられている状態です。

 現在のいろいろな研究を総合する宇土リカバリーできるのは7分の1らしいです。かなり少ないですね。ただ、もう少し緩やかなリカバリー、妄想は多少出るかもしれないが、社会生活には一定程度できる場合、このような状態も含めれば、50%はリカバリーできると言えるそうです。

 また、統合失調症は、ずっと悪くなり続けるのでしょうか。違います。初回エピソードの後、3年から5年以内で底をつくそうです。

 そして、統合失調症の原因は、上記の通り、原因はわかっていません。そのため、以前は、母親の養育のせいだと言われていたそうです。しかし、これは違うそうです。

 ただ、予後に向けた回復においては、本人や周囲の環境が大きな役割を果たします。本人の病気との向き合い方、家族の関わり方、支援者の関わり方が大きく影響するそうです。

 

 統合失調症の歴史的経過はどのようなものか。統合失調症は、過去、現在より受け入れられていなかったか。この点については様々です。例えばシャーマンや巫女などの存在がかつていましたが、統合失調症者だったかもしれません。そして、彼らは社会的に高い地位を与えられていたかもしれません。過去の方が、社会に受け入れられていたかもしれないのです。

 統合失調症は、他害のイメージがあるかもしれません。刑務所や精神病棟で隔離されるイメージもあるでしょう。とはいえ、統合失調症の他害の危険性は、そうでない人と比べてそこまで高くないそうです。重要なのは、本人の安全です。食事をとらない、自殺してしまう、そのような事態を防ぐには、緊急入院させる必要があり、隔離されていたのです。また、過去、哲学では統合失調症と天才が結び付けられてきましたが、現在は普通の病気として定着してきました。

 統合失調症は、ヤスパースによって、現在の流れに落ち着いたそうです。すなわち、患者理解の方法として、説明と了解の二つのモートがあることです。説明とは、生物学的な原因から病気の説明をし、了解とは、患者の立場で気持ちを推し量って理解することです。心の問題であれば、素人感覚でストレスや親子関係で説明してしまうものを、精神医学の専門家が克服できるようにしたのです。

そして、統合失調症の診断は、本人が考えていることを元にされるようになりました。これは、より患者の心に立ち入ることができるようになるとともに、病気の動物モデルを作ることができなくなりました。

 統合失調症は、自動車運転致死傷行為処罰法で、てんかんなどと並んで、正常な運転として支障がある状態に記載されています。

 

 以下感想。

 統合失調症が、ドーパミンの活性化と関係があるのなら、統合失調症と天才が関係あるというのも理解できます。過剰なドーパミンの分泌によって、脳の働きが加速的に作用し、天才的な思考や創造的な発明に近づくのかもしれません。そう言われるとわからなくもありません。

 また、統合失調症は、妄想、幻覚といった自我境界が犯されるものです。そして、天皇陛下万歳といった権威的な妄想もあります。なぜ権威的な妄想をするか。例えば、日常会話でも、有名人と知り合いであることをことさらにいう人がいます。往々にして、自分に自信がなかったりして自分を権威づけするのでしょう。それは、自己が不確かなことは確かめたいのはないか。

 統合失調症で権威的な妄想がされるのも、自己が不安定な証拠かもしれません。