どうしても生きてる 朝井リョウ

朝井リョウさんの作品は全て読んでいます。今回の作品も変わらずとても面白いものでした。 健やかな論理 「〇〇だから△△、という健やかな論理は、その健やかさを保ったまま、やがて、鮮やかに反転する。「満たされていないから他人を攻撃する。」はやがて「…

革命 エマニュエル・マクロン

現在のフランス大統領の自著である。他にもマクロン氏を扱う日本語書籍はあるが、レビューを見てみると、マクロン氏の年の差婚といったワイドショーで扱う内容が多いとの評価であったため、この本を買うことにした。 さて、内容はフランス大統領としてこれか…

ジュリアン【面会交流について】

面会交流を描いたフランスの作品です。 面会交流とは、父母の離婚中(または父母の別居中)に、子どもが、離れて暮らす親と交流することです。日本では、離婚すれば母親が子どもを引き取ることが多いため、多くは子どもが離れている父親と会うことを意味しま…

トラペジウム(高山一実)

乃木坂46の高山一実さんが書かれた小説。個人的に乃木坂46が好きだったため購入しました。アイドルが書いたということで、内容より著者で有名な部分はあったかと思いますが、小説としてとても面白いものでした(以下ネタバレ含む)。 主人公は、アイドル…

【アイドル、やめました】

副題:AKB48のセカンドキャリア 内容は、題名の通り。元アイドルのセカンドキャリアを追ったもの。筆者も元アイドルのようである。 私は、乃木坂46のファンであり、最近同グループから卒業が目立っていた。そこで、卒業後の進路を心配しており、本書を手…

マウス(村田紗耶香)

最近「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田紗耶香さんの作品です。 現在乃木坂文庫というイベントが開催されており、文庫の表紙に乃木坂46のメンバー一人が飾られています。 表紙は、「向井葉月」とう3期生です。食いしん坊キャラで売っていますが、と…

哲学する子どもたちーバカロレアの国フランスの教育事情

翻訳家の著者は日本人であり、フランス人の旦那を持ち、フランス在住である。その子どもはフランスの学校に通っており、そこから見えてくるフランスの教育事情の紹介である。 まず、フランスといえば、哲学。哲学の授業がある。哲学では、用語の定義、論理と…

こだわらない服装

服装にこだわるか。おしゃれな人もいればそうじゃない人もいる。なぜこだわるのだろうか。 最近読んだ記事におしゃれにこだわらない人は自己肯定感が高い人だという記事を見ました。確かに、ありのままの自分でOKと言っているのだから、そういってもいいのか…

法務教官の話を聞いて

法務教官として働く「武藤杜夫」さんの話を聞いていきました。 メモ的に。 ①少年院に入院している少年一人当たりの費用は年間いくらか。 答え、1000万円。 そこらの私立大学よりも高い。逆に言えば、ここまでくるとこれだけ費用を負担しないと改善できな…

村田沙耶香

「10人産めば1人殺してもいい」 センセーショナルな帯に惹かれます、「ご本出しときますね?」というテレビ番組で著者が話しているのを見て面白いと思い、購入。著者は殺人シーンを書くことを喜々として語っていました笑 さて、本書は、「殺人出産」とい…

伊坂幸太郎

サブマリン 前作チルドレンからの続編。主に家庭裁判所調査官とその少年を描いた作品です。 そもそも、家庭裁判所調査官という仕事をご存知でしょうか。 家庭裁判所調査官とは、家庭裁判所に配属される公務員で、家事事件と少年事件に主に配属されます。少年…

 イアン・マーキュアン

本作は、英国の裁判官が子の利益について葛藤する小説である。 未成年者は17歳、エホバの証人であり、直ちに輸血をしなければ死んでしまう病に侵される。病院は治療(輸血)の許可を求めて、初老の女性裁判官に申し立てる。 もし、18歳になっていれば、…

エロスと人生

最近、とみに思うのですが、未成年でやたらエロい女子いると思うんです。 めっちゃ危険ではないだろうか。 人生長いこと生きて来たら、いろんなものが身についてくると思うんです。 逆に、身につかなかったものも身につかないという形で身についているんだと…

人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。

いやなことがあったなら、どうするだろう。逃げる、改善する、見向きもしない。往々にして、解決できるのであれば解決するのだが。 人生の中で最も解決しにく課題であれば、往々にして逃避してきた気がする。 だいたいの悩みはその場、例えば学校のクラスだ…

WOWOWドラマ

推定有罪 冤罪で12年間服役した被害者は服役していた。冤罪発覚後、様々な立場、被害者、弁護士、政治家、ジャーナリスト、警察、裁判官、犯罪被害者やその家族などの人を巻き込んでいく。 ことの発端は、主人公であるジャーナリストが書いた記事により、…

カウンセリングを受けてきた

先日、さるところでカウンセリングを受けてきました。 1時間半の初回面接でしたが、あっという間の時間でした。 さすが、臨床心理士ということもあるというのか、話を聞いてくださるのが上手で、とても話しやすい時間でした。 さて、普段人の話を聞くこと、…

絶歌出版の感想 

平成9年に起きた神戸連続児童殺傷事件は、日本の少年非行の中でも、際立った事件の一つだと思う。 その少年が、最近だしたという本、「絶歌」 Amazon.co.jp: 絶歌: 元少年A: 本 アマゾンでは出版から4日で700件以上のレビューがついたりしています。 …

カウンセリングを受ける恐怖について

本日、初めてカウンセリングを受けてきました。 よく、性被害を受けると、警察などでまた性被害のことを根掘り葉掘り聞かれて、聞かれ方によっては二次被害を受けるという話を聞きます。 カウンセリングも二次被害ということがあり得るのだと感じました。 悩…

幕が上がる(小説)平田オリザ

青春だねぇ、これがまず感想です。 演劇部を舞台にした青春小説です。 作者の平田オリザ先生の授業をとっていたこともあり、読んでみました。 顧問の先生が変わるだけで部活は変わるのはやはり部活物語としてはありがちですが、青春物語の見どころはやはり青…

井垣康弘元裁判官、小学生連続殺傷事件の少年審判の決定文の全文が「文藝春秋」5月号に掲載された件について

いろいろ思うところはありますが、まずは、法律違反です。 これは全く否定する余地のないところです。神戸家裁は井垣氏を批判し、井垣しはこれに必要性を認めて、例外にあたるとしていますが、どのような必要性があったのでしょうか。 少年の成育歴を公開す…

限界のある仕事とそうじゃない仕事

私は、矯正関係の仕事をしながら弁護士を目指しています。その理由はとりあえずおいておいて、矯正関係の仕事は公務員です。 公務員と弁護士(自由業)の違いを考えた時、やはり、弁護士の方が魅力的です。 その理由は、公務員は、努力に対する対価が一定の…

自分の中のspecialityの扱いについて

対人関係を築くとき、どのようなものを築ければその人と良好な関係を築けてと言えるだろうか。 私は、それこそ秘密の共有だと思っている。それは意図的に誰かに秘密を共有することで仲良くなるのではなく、この人にならその秘密を言えるだろうな、その感覚が…

少年事件の付添人を目指すということ①

私は、現在矯正関係の仕事をしていますが、それを辞めて、付添人をする考えです。理由をいくつか追記します。 ①少年と一人の人間として長期間向きあうため。 少年事件では、警察、家裁調査官、裁判官、保護司、鑑別技官、法務教官等、多数の関係者が関わりま…

落語の国の精神分析(☆☆☆☆)

落語が好きな精神分析家が落語について精神分析家として話す本。 「このことが、「落語とは人間の業の肯定である。」と言ったことの意味である。」彼は50代になろうとする頃、この言葉を書いた。現役の落語家がこれほど落語の本質を射抜く言葉を発したこと…

【ドストエフスキーと愛に生きる】 the woman with the five elephants

ドストエフスキーをロシア語からドイツ語に翻訳したある女性の生涯を綴りながらその翻訳家の人生に焦点を当てた映画。 最初はスヴェトラーナ・ガイヤーの日常生活が描かれる。明るい日が差す家で食事を作る。アイロンをかける。孫たちに料理の作り方を教える…

【死神の浮力】

サイコパス、社会の中には二十五人に一人の割合で存在しているらしい。良心のない人間、どちらかというと共感性のない人間のことを指すのだろうか。 *************************************** 「強い種類の生き物が…

【船を編む】

辞書とは何か。そもそもそんなことを考えた作品。 そもそも英和辞典なぞならいざしらず、辞書ってどこまでみんな使うのでしょうか。国語辞典も学生時代でもそもそも引いたことない、なんて人も多いのではないでしょう。私は仕事柄正確な言葉を使わなければい…

【パリ20区、僕たちのクラス】(DVD)

パリ20区、僕たちのクラス DVDの表紙からは和気あいあいとする生徒と教師。きっと苦難を乗り越えて生徒が教師に胸の内を告白してわかり合いながらハッピーエンドを迎える..と思いきや。 作品終了後までまったく和解せず。見るも無残なバッドエンドであっ…